105.ゼルデンガナ交信中
一方その頃ゼルはというと・・・
人がいない場所を探し求めて訓練施設の奥の奥のそのまた奥を抜けたところにある展望台のようなところまでやってきていた。
「フッフッフ、ココマデコレバ誰モイナイダロ」
そう呟くと、ゼルは背中に背負った黒い大きな箱を下ろした。
「ヨッコラセット・・・」
その箱はどうやら通信機のような物らしく、 ゼルはスイッチを入れたり、大きなダイヤルをぐりぐり回したりている。
「ヨシ・・・」
一通り調整が済むと、ゼルはポケットからスティック状の物を取り出した。
「ポチットナ」
タイムボカン系のかけ声(謎)と共に、そのスティックについたボタンを押すゼル。
すると・・・
ビヨヮーン☆
なんと!ゼルの目の前に直径1m程の穴がぽっかりと開いたではないか!!
その中は全く不可思議な空間で、七色の光が渦を巻き、見ていると吸い込まれそうな特異な雰囲気を醸し出していた・・・。
「ヨシ」
と言うと、ゼルは通信機の前に座り、ヘッドホンをつけると、 先ほどとは違うダイヤルをぐりぐり回したり、つまみを上下させたりしている。
ザ、ザザザ、、、
「コンナモンカナ・・・?」
次にゼルは赤いボタンを押した、するとその上についているパイロットランプが点灯し、 小さなディスプレイに”Calling...”の文字が表示される。
「アーアー、コチラゼル、コチラゼル・・・ハカセ、応答ネガイマス、応答ネガイマス、、、」
程なくしてゼルのヘッドホンから女性の声が聞こえてきた。
『・・・ザザザ・・・あ、ゼル?どう調子は?・・ザザ・・・』
「アァ、マアマアダナ」
『・・・ザザ・・・これまでに何か問題は?・・・』
「特ニナシダ」
『・・・いい?彼らに絶対に気づかれるんじゃないわよ!もし気づかれたら・・・』
「ハハハ、分カッテルヨハカセ、アイツラハ馬鹿ダカラ気ヅカレッコナイサ」
『・・・あらそう?たいした自信ねゼル?・・・』
「マアネ(ニヤ)」
『・・・まぁいいわ、こっちも準備が出来次第そっちに向かうから、それまでよろしく頼むわね・・・』
「リョウカイ」
『・・・あ・・・ザザザ・・・そういえばそっちでハイパー干し肉とかいうモノ見てない?・・・』
「ハイパーホシニク?ナンジャソリャ??」
『・・・知らなければいいのよ、もし見かけたら連絡してよね。じゃっ!・・・ザザー・・・』
「アイヨー」
『プープープー・・・』
「フー」
ゼルはヘッドホンを外してほっと一息つくと、 不思議な空間を閉じ、通信機の電源を落とすと、 来た時と同じように背中に背負い、そしてどこかへ去っていった。