115.朝の食堂
「ん?なんか食堂のあたりに人がいっぱいいるのだ」
見るとたしかに食堂からは人がいっぱい溢れ出している様子。
「並んでるみたいだね~?」
スコールはバラムガーデンに来て何年かたつが、未だかつて朝っぱらから食堂がこんなに混んでるのなんて見たことがない。
「どうしよっか~?並ぶぅ~?」
セルフィは首をカクンと傾げてスコールの表情を伺った。
「んー、仕方ないのだ・・・」
「帰るぅ~?」
「仕方がないから割り込むのだ(-_- )」
「え~?割り込みはだめだよぉ~?」
「大丈夫なのだ、オレサマについてくるのだ( -_-)/」
スコールは渋るセルフィの手を引いてずんずん奥へ入っていった。
セルフィは転校してきたばかりでまだ知らないが、これでもスコールは校内ではそれなりに皆から一目置かれる存在で、彼の歩く先にはなんとなく通り道が出来ていた。
セルフィは戸惑いながらも周りの人に気遣いつつ、スコールに手を引かれて前の方へと進んで行く。
「うぅ~・・・ねぇすこーるぅ~・・・」
セルフィはスコールに呼びかけてみたが、スコールは前ばかり気にしてる様子でちっとも聞いてはくれなかった・・・が。
「むむっ!?」
突然スコールは立ち止まった。
うつむき加減で後ろを歩いていたセルフィはボスンとスコールの背中に顔を埋めてしまった。
「いたた・・・どうしたの~急に止まって~?」
「あそこにサイハー達がいるのだ」
セルフィがスコールの肩越しに覗いてみると、確かに5人ほど前にサイハーと風神・雷神の3人組みが並んでいるのが見える。
「ねぇスコールぅ~もうこの辺にしようよぉ~・・・」
「んむーそうするのだ、実は今はちょっとサイハーには会いたくない気分なのだ(-_-;)」
仕方なくスコールはそのあたりの列に割り込んだ。
セルフィも後ろの人に気を遣いつつスコールにくっついて列に入った。
「ハ~イ♪君ィカワイイね~っ!ここの生徒~?」
「??(・・;」
後ろにいた長身長髪でヘラヘラしたナンパな人がセルフィに声をかけてきたが、
「(ここの生徒なのは当たり前でしょ~、何言ってるんだろうこの人・・・)」
と思ったセルフィは、
「・・・すいません・・・」
と、一言謝って列に入り、それ以降は後ろの彼のことはあまり気にしないようにスコールの背中にくっついていた。
すると間もなくして前の方でちょっとした騒ぎが起こり始めた。
周りの人達は(またか・・・)といった感じでアキラメ顔だが、割り込んできたばかりのスコールとセルフィは何事かと前の方を覗き込んだ。
「サイハー達がなんか騒いでるのだ、相変わらず騒がしいやつらなのだ(-_-;)」
スコールは呆れ顔だがセルフィはスコールとは別のことに気がついた。
「あーっ!スコールぅー見て~!ほらあそこ~っ!」
「ん~?( -_-)」
「ほら、あそこにトンちゃんが~っ!」
「んむむむーっ(-_-;ゞ」
どうやら前方の騒ぎの張本人は、誰あろうトンベリィ料理長その人だったのだ!
「・・・なんだかサイハーと言い争ってるみたいなのだ・・・(-_-;)」
「でもどうしてトンちゃん厨房にいるのぉ~?」
スコール達はドキドキしながら彼らの争いを陰ながら見守ることにした・・・。