【読みきり番外編】ヤキソバパンの悲劇
<出演>
スコール・レオンハート
リノア・ハーティリー
サイファー・アルマシー
風神
雷神
セルフィ・ティルミット(友情出演)
アーヴァイン・キニアス(友情出演)
ヤマザキ先生(通行人)
カドワキ先生(特別出演)
ゼル・ディン
1999年晩秋・・・
木々の葉もすっかり色づき、
ちょっと背伸びしてロマンチックな大人の恋をしてみたくなるそんな季節・・・
ガーデン1のお似合いカップルと評判のスコールとリノアは、
正門から校舎へと続く並木道を肩を並べて歩いていた。
最近の若者文化の風潮に合わせ、バラムガーデンではこの時期、
夜になると並木道にはライトアップがなされており、
自然と若い男女が集まる恰好のデートスポットとなっていた。
「・・・ねえスコール・・・みんなスゴイね・・・ほらほら!あれなんか・・・ひゃ~(*^^*)」
「・・・んん・・・」
「・・・あ!あれあれ!!ほらあそこにセルフィとアービンもいるよ!?
いやっ・・・あんなこと・・・(*・・*)」
「・・・あぁ・・・」
「・・・ねえスコール、聞いてるの?」
「・・・ふぅむ・・・」
スコールはさっきから気のない返事ばかりだった
(スコール・・・手ぐらい握ってくれたっていいのにな・・・
・・・って無理もないか・・・スコールってば案外照れ屋さんだもんね♪)
リノアは隣にいるスコールの顔をチラッと見上げた、
スコールは神妙な顔をしてキョロキョロと周りを見回してはため息を吐いている、
時折リノアと視線が合うものの、何か言うわけでもなくすぐに目をそらしてしまう。
(うふふふ、スコールくんは緊張してるのかな~?)
リノアは、スコールが小心者で引っ込み思案で照れ屋さんだから、いまだに手を握ってこないんだ・・・
・・・そう思っていた。
しかしスコールの頭の中は・・・
(ウゥゥゥゥ~焼き芋クイテェ~・・・タコ焼きか大判焼きでも可ダナァ・・・
しかしこの辺はちっとも屋台出てねえんだなぁ・・・ちっくしょぉー・・・)
まさに食欲の秋だった
二人は先ほどから言葉を交わすことなく、
しかしチラチラと顔を見合わせながら歩いていたので、
傍目に見ると「目と目で~通じ合う~♪」カップルに見えたことだろう、
だが水面下ではこの様に虚々実々の駆け引きが行われていたのだ(謎)
(※意味の分からない歌や言葉はお父さんお母さんに聞いてみよう)
が、結局何もないまま二人は校舎まで戻ってきてしまった、
校舎の中は青白い水銀灯に照らされているせいか、
急に夢から覚めてしまったかのような・・・そんな感じがする
(あぁあ・・・今日のデートもこれでおしまい・・・か・・・)
ちょっと名残惜しそうにしているリノアにかまうことなく
スコールはスタスタと先に歩いていってしまう
(確か机の引き出しにカップメンが1ヶ残ってたはずだっ!(@◇@))
無意識のうちに彼は競歩の選手と化していた
「ちょっ、ちょっと待ってよスコール!」
リノアは小走りでスコールの後を追いかける、
と、競歩(?)をしていたスコールが突然立ち止まった、
リノアは勢い余ってスコールの大きな背中にデンとぶち当たった☆
「・・・いたたた・・・もう、急にとまんないでよー・・・(><;)」
「あー!スコール!!スコールとリノアだもんよ~
おまえら仲がいいんだもんよー、うらやましいんだもんよー!!」
そこにいたのはガーデン1の問題児集団”風紀委員組”の3人だった。
「へっへっへ・・・リノアぁ・・・久し振りだなぁ・・・」
「あっ、サイファー・・・」
リノアはササッとスコールの後ろに身をひそめる
「・・・へっへっへ・・・俺の使い古した女の味はどうだスコール!?」
「まっ・・・何てこと言うのよサイファー!ひどいじゃないの!・・・・・・ねぇ、スコール」
「・・・ん?うん・・・」
「ほらスコールからもなんとか言ってやってよ!」
ずいっと前に出されるスコール
「んー・・・味かぁ・・・まだ食ってないからよくわかんないだよなぁ(腹減ったなあ・・・)」
「ヘガッハッハ、こいつはケッサクだぜ!
スコールよぉ・・・お前はまだ知らないようだから親切なサイファー様が教えといてやるぜ、
この女はなあ○○○が××××で○○○○は×××××××なんだぞー!
ひゃっはっはっはっは~!!」
「サイファー!言葉過、慎!!」
風紀委員組の中で唯一真面目キャラ担当の風神がサイファーをたしなめる
「リノア・・・大丈夫?」
「・・・サイファー・・・スコールの前でそんな事言うなんて・・・ひどいよ・・・グスン(;;)」
風神が心配して駆け寄ったが時既に遅く、リノアは泣き出してしまった・・・
「あーサイファー!リノア泣かしちゃったもんよ~悪いんだもんよ~!!」
「ケッッ!」
雷神にそう言われて、ちょっとむっとしたサイファー
「ハッッ!!!」
・・・とここでなんと都合がいいことに(爆)
今の今まで食べ物のことしか考えてなかったスコールが
リノアの涙を見て突然正気に戻った様子だ!!
「おっ、おいリノア・・・どうした?なんかあったのか?(汗)」
なんかあったのはオメーだよ。
「えぇ~ん・・・サイファーが・・・サイファーがあたしの事いじめるのぉ・・・(;o;)」
「にゃにゃにゃにゃニャニィーッッッ!?!?!?」
スコール大発奮!!
「サイファーっ!!キッキサマー、俺のリノアに何をしたーっ!!!!」
「おぉ?なんだスコール、やる気かぁ?・・・ヘッヘ・・・(ニヤ~)」
サイファーはガンブレードをさやから抜くと、攻撃の構えを取った。
「サイファー!彼武器無所有!卑怯!!」
「フッフッフ・・・ご心配には及ばないぜ風神さんよ・・・これを見ろ!!」
スコールはポケットから何やら小さなカプセルを取り出し、
それを高々と投げ上げた!!
ガビチョーン!
奇怪な大音響と共に七色の光を放ったかと思うと、
そのカプセルは一振りのガンブレードとなって
空気を切り裂く音を響かせながら落下し、
そして鋭く地面に突き刺さった。
「へっへっへ・・・
こんなこともあろうかとオダイン博士に作ってもらったのでおじゃるよ!!・・・あれ?(?)」
何故か口癖がうつってしまったスコール
「くっ・・・」
「サイファー!やばいもんよ!今日はやめといたほうがいいもんよ~!
リノアの前でいいとこ見せてヨリを戻そう作戦は失敗だもんよ~!!」
「ばっ・・・バカヤローてめー何てこと言うんだ、ぶっ殺すぞ!!」
雷神は一足早くサイファーの手によって輪切りにされてしまった
「サイファー・・・(*・・*)」
リノアはそれを聞いてちょっとだけ頬を赤らめた・・・
が、それを見たスコールは黙っちゃいない
「オニョレサイハー!!今日こそテメーと決着を付けてやる!!
行くぞ!オリャーッッッ!!!!」
ガキーン!☆
二人の大男がガーデンのホールでとうとう力と力のぶつかり合いを始めた。
途中ヤマザキ先生が
「コラーッ!ガーデン内で武器を振り回しちゃイカーン!!」
と仲裁に入ったが、いとも簡単に弾き飛ばされて星空へと消えていった。
なおも火花を散らしながら戦い続けるふたり・・・
が、スタミナ面で劣るサイファーが先に疲れを見せはじめた
「クッ・・・」
「どうしたサイハー!もう疲れちゃったんじゃないのかぁ!?」
「・・・クソッ・・・このままじゃ・・・しかしこれでどうだっ!コンヒュ!!」
実戦の経験豊富なサイハーは、
隙を見て切り札の魔法をスコールめがけ解き放った!
紫色の光の束が渦を巻いたかと思うと、
次の瞬間、その光はスコールの体をギュウと締め付けた!
「くるくるピー!!\( @v@)/」
「よし、まんまとかかりやがったぜ!」
混乱したスコールは口からよだれをだらだらと流し、
その瞳からは血管が浮き出、そして関節が通常とは逆方向に曲がり始めた・・・(謎)
・・・その頃食堂前の廊下では・・・
日夜食堂のヤキソバパンを得んがために数々の作戦を展開しているものの、
一向に成功を収めたことがないという鶏肉系男子ゼル・ディンが校則違反は覚悟の上で、
掟破りと言われた泊り込み作戦に出ていた。
しかしいくらガーデン内とはいえ、晩秋のこの時期から徐々に朝晩の冷え込みが厳しくなってくる、
そのためゼルは、昼間のうちに食堂の裏手にある廃品回収用コンテナボックスからこっそり持ち出してきたダンボールを幾重にも床に敷き、
自らは山岳部の部室に押し入って奪い取ってきた寝袋の中に潜り込んで万全の体制を整えていた。
「んー我ながらばっちりな作戦だぜ!これで明日の昼飯は・・・へっへっへ(ニヤ)」
芋虫状態のゼル・ディンは、明日の勝利を夢見て眠りに落ちようとしていた・・・
が、その時!
バラムガーデンで1.2を争う荒くれ者たちが火花を散らしながらこちらに向かってやってくるではないか!
「んんん・・・なんだあいつら・・・(=_= )」
「ちくしょーっスコールにコンヒュをかけたのは失敗だったぜー(汗)」
「ウリャリャリャーッ!!」
ガキーン☆
サイファーの先を行く風神が食堂へ通じる扉が開いているのを発見した
「サイファー!我等逃食堂!!」
「よし、風神、退路はお前に任せた!!」
風紀委員たちは風の様にゼルのそばを駆け抜けていった
「ゲゲッ、やばいんじゃないのこの状況・・・」
臆病チキン野郎と名高いゼルは慌ててその場から逃げようとした、
が、逃げようにもゼルは芋虫から蝶への進化の過程のまっ最中(謎)
手も足も出ない状態でただただその場でもぞもぞうごめくことしか出来ない!!
ゼル、ピーンチ!!!
そこへ正気を失った、まるでこの世のものとは思えない魔人の形相をしたスコールが猛烈果敢に飛び掛ってきた!!
「キョワェャリャリャリャーッッ!!!(@◇@)ノ」
ヂョバァーッ!
「ウギャーッ!!!」
チキン野郎のゼルは、スコールのガンブレードによってその自慢の刺青を同じ形の傷痕へと変化させられてしまった。
ピーポーピーポー・・・
・・・顔から血柱を吹き上げたゼル・ディンは保健室へと担ぎ込まれた・・・
「あぁらかわいい子がきたわね、ンフフフ・・・」
そして今夜もまた、一人の青年が色魔ババアカドワキの餌食となったのだった。
おじまひ(汗)