23.課外授業

ひとしきり笑い終えてスコールがキスティスに聞いた

「・・・なあ先生・・・ところで、GFってのは一体何なんだ?」

「G.F.?ん~そうねぇ・・・」

なにやらカバンの中をごそごそやってるキスティス

「?」

「あ、あったわ、はいこれ!」

取り出したのは薄っぺらな小冊子

「これ?」

「今すぐこれ読んで、大抵の事はこれに載ってるわ」

「え~今から読むの~?」

「薄っぺらいからすぐ読めるでしょ?ほら!早く読む!!」

「はぁい・・・」
地べたに座り込んで小冊子を読み始めるジベタリアンのスコール
時刻はとうに午前10:30を回っていた・・・


・・・キスティスは焦っていた

「(えーと・・・実地試験が午後1時からでしょ・・・
スコールは頭が悪いからこれ読むのに30分はかかるとして・・・
炎の洞窟の課題は・・・いくらスコールでも20分はみといたほうがいいわよね・・・
そして・・・ここからガーデンまで戻るのに30分・・・
食事するのに30分・・・シャワーと着替えで20分・・・
合計すると・・・2時間10分・・・
はぁ・・・スコールを口説いてる時間はない・・・か・・・(落胆))」

そんなキスティスの悩み(?)も知らず
スコールはのんきに鼻歌を歌いながら小冊子を読んでいる

「ふむふむ・・・・・・
・・・えぇっ!?GFってゴム・フウセンの略だったのかっ!?」

「え?・・・そうよ、知らなかった?」

「知らなかった・・・てっきりガール・フレンドだとばかり思ってた・・・」

「ふぅん・・・ありがちな間違いね」

「んむむむ・・・」

またしばらくの間スコールの鼻歌だけが時を刻む・・・
そのうちにキスティスが”あっ”と何かを思い出した。

「ねえスコール、そう言えばシヴァはどうしたのよ?」

「ん?シヴァって?」

「ほら、水色っぽい色で女の形したやつよ」

「んん?・・・あーあーあれね」

「思い出した?」

「あれはセルフィって子にあげちゃった」

「セルフィ・・・?
あぁ、あのトラビアから来た転校生の・・・
そっか・・・まあいいわ、今回はケツクワトルだけでなんとかやりましょ」

「あ~そうだそうだ、それがさぁ先生、聞いてよ~♪」

「何?」

「あいつさ~・・・・・・」

セルフィに会ってからの事を楽しそうに話すスコール

「・・・へぇ・・・そうなの・・・」

キスティスの顔がだんだん曇っていくことに
スコールは気づいてはいなかった。

「・・・スコール・・・そろそろ、行きましょうか・・・」

キスティスは突然立ち上がってそそくさと先に行きかける

「え?う、うん・・・あ、ちょっと待ってよ先生・・・」

スコールは慌てて立ち上がり後を追う、
するとキスティスは立ち止まった・・・

「・・・ねえ・・・スコール・・・?」

「うん?」

心なしかキスティスの背中がわずかに震えている・・・

「先生?どうしたの?」

スコールがキスティスの肩に手を掛けた、その瞬間・・・

日の光に美しく輝くブロンドの髪をなびかせて
キスティスがスコールの方を振り返る、

「んんっ・・・!?」

スコールには何が起こったのか一瞬わからなかった、
唯一つだけわかったのは自分の唇がとてもやわらかく、
そして熱いモノでおおわれていたということだった・・・
・・・それはスコールにとっては生まれて初めての未知なる感触だった・・・


どれくらいの時間がたったのだろう・・・
ほんの短い間だったはずだが、
二人には無限とも思える時間が流れたように感じられた・・・

ふれあっていた唇と唇とが名残を惜しむかのように、
ゆっくりとその結わえを解き、そして離れていった・・・

「ふぅ・・・」

「・・・・・・」

言いようのない沈黙を破ってキスティスが話し始めた

「・・・あ、あの子ね、トラビアではすごく成績優秀だったんですって、
教官室はいつもその話題でもちきりよ。
・・・と・・・あ、それからね、バトルもすごいんですってよ、
腕の筋肉なんかこーんなかもね!」

服の袖を引っ張りあげてみせるキスティス

「先生・・・」

スコールが腕を掴んでくるのをさっと振りほどき・・・

「・・・さ、そろそろ行くわよ」

「え、いや・・・・・・だって、まだこれも読んでないし・・・」

「いいのよそんなの読まなくたって、私がしっかりサポートしてあげるから!」

「そっ、そうか?」

「じゃあ・・・行くわよ!」

胸の鼓動の高鳴りが聞こえてしまうんじゃないかと
スコールはボーッとした頭でそんなことを心配していた、
そしてそれはキスティスもまた・・・。

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