34.夢のバンド
「ほら~ここだよ~♪」
「これは・・・」
そこには仮設のステージが組んであり、
着々と学園祭に向けて準備が進められているかのように見えた。
セルフィはステージの階段をテケテケ上っていき、飛び跳ねながら言った。
「どうこれ~?あたしが一人で準備してるんだよ~♪」
「え・・・?ひとりで・・・??」
「うん、だって実行委員あたしひとりなんだもん・・・
あ、でもこれからはスコールも一緒だから準備がもっと早く進むね~♪」
「ああ・・・で、ここで何をやるんだ?」
「へっへ~・・・あたしね、実はバンド組むのが夢なんだ~♪」
「バンドか・・・」
「うん、バンド♪
あっそうだ!ねえスコールも一緒にやろうよバンド、ね?ね?」
「・・・うん・・・別にいいけど・・・」
「わーほんと~?やった~(^^)
これでセルフィバンド2人になったよ~♪」
「そっか・・・よかったな」
大喜びで飛び跳ねてるセルフィを尻目に、
スコールは大きく一つため息をついた・・・
「はぁ~・・・」
「あれーっ、副いいんちょどうしたの~?ため息なんかついて~」
セルフィはスコールのところまでトテトテ歩み寄って、 うつむいてるスコールの顔を下から覗き込むようにして聞いた。
「いや・・・セルフィはいいな、いつも元気で・・・悩みとかなさそうだもんな~・・・」
「えっ・・・」
さっきまで笑っていたセルフィが、その満面の笑みの中にほんの一瞬悲しい表情を見せたような気がした、
が、次の瞬間セルフィはケラケラと声を出して笑っていた。
(ん?・・・あれ、気のせいか・・・?)
「・・・えへへへ~、わかる~?
あたし悩みとかってぜんっぜんないタイプだからね~(^^)
スコール君はなにか悩みがあるのかな~?
あるんだったらあたしに話してすっきりしちゃえ!
ほら、ココ座って座って!」
「え?ああ・・・そうか?」
セルフィはステージの前っ面にスコールを先に座らせると、
クルリと背を向けてそっと目頭を押さえた・・・
が、スコールの方を振り返った時にはもういつものセルフィに戻っていた、
そんなセルフィの様子のことをもちろんスコールは知る由もない。
「はい!で、どうしたのかな~?」
「・・・うん・・・実はさ・・・」
スコールは今朝保健室でセルフィと別れてからの事を話し出した、
セルフィはスコールの言葉に対していちいち首をコクコクしてうなずいている。