49.寒風のバラム平野
「ヒーヒー・・・」
年が明けてからめっきり冬めいてきたここバラム地方、
寒風吹きすさぶ中、2人の男子生徒と1人の女教師、そして1体の秘密ロボ(?)が ガーデンからバラム町へ向かって片道15キロの道程を身震いしながら歩いていた。
道中にはコンビニも自販機もなく、カラダを暖める術といったら乾布まさつ(?)か走ることぐらいだった。
「うぅぅぅ~・・・俺の100円玉が泣いてるぜ・・・
あぁあ、泣きすぎで穴があいちゃってるよ・・・トホホ」
スコールは財布から50円玉を取り出して泣いていた。
「オ・・・オレなんカ半ズボンダゼ・・・グハァッ・・・血をハキそうなぐらいサムイ・・・」
ゼルは自分の衣装デザインを恨んでいた。
「ケッ・・・どいつもこいつも軟弱なこと言いやがって・・・お前ら全員うさぎ跳びだぁーっ!」
サイファーは相変わらず熱血だった。
「サイファー・・・イイナアそのコート・・・ちょっと貸してくれヨ・・・」
ゼルは羨ましそうにサイファーのロングコートを見つめている。
「なんだとーっ!てめえは制服着てこねえからそんな恰好なんだろう?そいつは自業自得ってやつだぜ」
「ウゥゥ~制服は今朝洗濯シテシマッたのダ・・・(ToT)」
ゼルは少しでも肌の露出を減らすためにズボンのすそを引っ張って伸ばそうと懸命だ。
一方、ゴツイ革ジャンを着込んでぬくぬくのスコールは、先ほどから誰かが足りないことについて無い知恵をふりしぼって考えていた。
「・・・ん~誰かがいないなぁ・・・誰だっけなあ・・・
あーそうだ!キスティス先生がいないんだ、どこ行ったんだ・・・?」
スコールのその言葉に、さっきから揉めていたゼルとサイファーもさすがに気になったらしく、 3人は仲良く周囲をキョロキョロと見回してみた。
・・・すると遥か後方から猛烈な砂塵を上げて何かがこちらに近づいてくるのが見える・・・
「おぉい!なんだありゃっ!!」
ぐんぐん近づいてくるその謎の物体は、先ほどから行方知れずになっていたキスティス・トリナンバンその人であった。
「ひゃーっこれ最高ねーっ♪」
渦中の人キスティスは、なにやら板状のモノに載って、空中をすべるように飛んでいる。
「ア~ッ!ソッ、ソレはオレのTボード・・・イツノマニィ・・・(■_■;)」
Tボードと呼ばれたそれは、ゼルが自らの手で開発したもので、スケートボードに似た形状をしており、 近い将来現在の自転車に取って代わるだろうと想定されている庶民向けの近距離移動器具なのだ。
ここでただひとつ気がかりなのはTボードの正式名称が”テクノ・ボード”だというネーミングセンスの悪さだろう、 一般に公開される際には有能なコピーライターに頼んでいい名前を付けていただきたいところではある。
(注釈:ゲーム中でのTボードは正式名称”タービン・ボード”)