51.ノイジー・ドリーム

・・・スコールは夢を見ていた・・・

彼の夢の中はまるで時間が逆さ回りをしているようで、 先ほどこの船に乗り込んだところから今日1日の出来事を、 まるで絡み合うひもを手繰るかのようにゆっくり、順に古いことへと振り返っていった。


・・・試験開始前、ホールに集合したこと・・・

・・・セルフィが自分の部屋に来たこと・・・

・・・炎の洞窟での最終課題のこと・・・

・・・朝のホームルームでのこと・・・

・・・サイファーの朝練に付き合わされたこと・・・


そして時間は前の日、そのまた前の日と戻っていく・・・
それにつれて、その速さは加速度的に増加していき、 スコールの視界にはまるでテレビでよく見るところの時間移動のそれのように、 過去に自分が辿ってきた軌跡を描き出し、それが彼の回りを絡み合いながら 光の如く後ろの方へと流れ飛んでいった。

・・・がしばらくすると前方に真っ黒い点のようなものが見えた。
その黒い点はそれが何物であるかをスコールに確認させる暇(いとま)も与えず、 見る見る近づいてきたかと思ったらそれは巨大な壁と姿を変え、 あっと思った時にはスコールはその圧し掛かってくるような威圧感の真っ黒い壁に激しく叩き付けられていた。

周りを見回してみると先ほどまで光が流れているかのように見られたところには バラムガーデンの入学式の様子が写し出されていた、そこには当時15歳のスコールの姿もあった。

「ん~?( -_-)」

いまいち状況が把握できないでいるスコールは、先ほど自分がぶち当たった真っ黒い壁の方へ行ってみた、 その壁は本当に光さえも吸収してしまっているかのように真っ黒く、触れた瞬間壁の中に吸い込まれてしまうような気がした。

・・・が、ふと気づくと10メートルぐらい先にぼんやりと明るいところが見えた。
行ってみると、不思議なことにそこにだけ直径1メートルほどの穴があいており、 その中からは灰色の光(?)が放たれている、スコールは恐る恐る中を覗き込んでみた。

「うーん混沌 (-_-;)」

そのまま中を覗き込んでいると、何故だかだんだん意識がぼんやりとしていき、 じきにスコールはその場に倒れ込んでしまった。

・・・次に目を開けるとそこは先ほどまでと変わらない船の中だった。
ぼんやりした目で周囲を見回すと、作戦に関しての話をしていたはずのシュウは既にいなくなっており、 サイファーが一人、なにか熱弁を振るっているようだった。
キスティスはウンザリした様子で頬杖をつき、じーっと壁のほうを見つめている・・・。

ゼルはと言うと・・・
彼は腕を取り外して(!)接続部にグリスを塗っていたりした。
もうバレるもへったくれもなさそうだが未だ彼がロボットであると言うことは誰も確信を得ないでいた。(何故?)

「うーん・・・ちょっと酔ったかな・・・」

気分がすぐれないスコールはちょっと外の空気を吸いに甲板に出てみることにした。

甲板に上がると前方には大陸が広がっている、
そして真っ直ぐ前方の海上には出島の如くに突き出た感じの街が見えた。

「あれがドールかなぁ?」

気がつくと周囲には幾多の戦艦が非常戦闘態勢を続けており、物々しい雰囲気を醸し出している。
そして前方の岸のほうでは銃撃戦らしき音も聞こえてくるようだ・・・

「これが戦場か・・・」

目的地ドール公国を目の前にして、スコールは自分の中に流れる血が炎の如く燃え滾るのを感じていた。

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