54.ゼル・デンガナ風雲急
なんとか自力で砂地獄からの脱出に成功したスコールとゼルの二人は、体中についた砂を払うのに余念がなかった。
「B班の受け持ち地域は中央広場よ!さ、急いで!!」
キスティスにそう急かされ、 中央広場がどこにあるのかは知らないが、とりあえず街の方へ行ってみることにした。
が、そこへサイファーが怒鳴り声を上げる。
「よし行くぞ!円陣を組めっ!!」
戦場の緊張感からか、あのサイファーまでもが気持ちがハイになっている様子、
スコールとゼルの二人もついつい乗せられて、思わず3人で円陣を組んでしまった。
「エイエイオーッ!!!」
勝利の勝鬨(?)を上げた3人は一心不乱に街の方へ向かって走っていった。
そんな彼らの様子を不安げに見つめていたキスティスはここで大事なことを思い出す。
「あ、ちょっと!戦闘の前にはG.F.の装備をくれぐれも忘れないでね!!
・・・ってあの子達ちゃんと聞いてるのかしら・・・」
大事すぎるほど大事なことをキスティスは3人に向かって言ったのだが、 彼らはそんな声には聞く耳持たず、猛烈な勢いで走り出した。
・・・が、10メートルも行かないうちに海岸の砂に足を取られてゼルが転んでしまった。
「うぉぉっ、ゼルっ大丈夫かっ!?」
スコールがゼルを抱き起こす、
サイファーはなんだかもう無我夢中で砂塵を巻き上げて駆けていってしまった。
「うぅっ・・・どうやらさっき接続部に砂が入ってシマッタもようダッ・・・」
「接続部?ん~何のことだ~?(・_・ )?」
「ア、イヤイヤ・・・ナンでもナイヨ・・・さ、行コウスコール!(汗)」
ゼルの足腰からはギシギシと怪しげな音がしている。
「お、おいゼル・・・本当に大丈夫なのか・・・?」
「ウウウ・・・ダメかもしれんカモ・・・」
バタ
ゼルはその場に倒れ込んでしまった。
スコールの顔からサーッっと血の気が引いていく・・・・
「サイファー!ゼルの調子がおかしいんだっ・・・撤収だ、撤収ぅぅ~!!(>△<;)/」
そんなスコールの叫び声も、戦場の喧騒の中ではあまりに無力であった。