55.哀愁・デンガナ
ところが・・・!
奇跡的にサイファーはスコールの声に気が付いたようで、こちらを振り返り、
一瞥しただけでその状況を把握すると大音声でこう言った。
「スコール!そんな奴は放っておけ!」
「そっそんなぁ~っ(><;)」
「甘いぞスコール!戦場ではなぁ、動けない奴のことなんか気にしてたら自分までやられちまうんだ、 自分の身を守りたかったらそいつの事は諦めるんだな!」
「うぅ・・・でも・・・・・・」
「先に行ってるぞ!!」
そう言い残すとサイファーは一人で行ってしまった。
「うぅぅ・・・ゼル・・・俺はどうすれば・・・」
ひざをがくりと落とし、すがるような目でゼルを見つめるスコール
「・・・スコール・・・先にイケヨ・・・」
ゼルは昨日テレビで見た俳優みたいにちょっとカッコつけて、
自分の身の安全よりも友の成功を祈ってるかのようにそう言った。
「(フフフッ、キマッタナ(☆_☆))」
が、そんな演技が邪悪王スコールに正確に通じるわけもなく・・・
「そうだな、よく言った!」
「・・・ヘ?(汗)」
「じゃあ俺はもう行くよ、短い付き合いだったが元気でな」
「・・・オィオィ(-_-;)」
「とんずらーっ」
スコールの姿はあっという間に見えなくなった。
足元では彼を嘲笑うかのように、高足ガニの群れがそのご自慢の股関節を鼓舞しつつ、 高らかな行進曲を奏でながら海へと入っていった。
「赤い夕日が目にシミルゼ・・・」
海岸線は目と鼻の後ろまで迫っていた。