74.山登り
今やたった二人きりとなってしまったB班は、 班長であるサイファーの勝手な采配によってドール郊外の小高い丘・・・ といった感じの山に登る事になった。
とはいえ山頂までは特に公共交通機関があるわけでもなく、 彼らは自力で山を登る事になる。
街を抜け、橋を渡り、いよいよ登山口と思しきところに二人はやってきた。
「おいスコール、この辺りからは敵兵だけじゃなくてモンスターも出るからな、気をつけろよ」
「おう、了解班長!でもサイハーこの辺りの地理にやけに詳しいな?」
スコールは解けかけた運動靴の紐を結び直しながらサイファーに尋ねた。
「まぁな、伊達に候補生を何年もやってるわけじゃねぇぜ( -_-)」
「ふーん・・・・・・あれぇ?まただ・・・(-_-;)ゞ」
やはりどうしても縦結びになってしまうスコールだった。(第52話参照)
「よし、そろそろ行くぞ」
「おっおぅ・・・」
靴紐を気にしつつもスコールはサイファー班長に続いて山を登っていった。
山頂にその謎の施設があるためか一応道は整備されているようだが、ここ数年は使われてなかったのだろうか? そこらじゅう雑草がノビホーダイとなっている。
「むっ、早速出やがったな!」
前を行くサイファーが、この先の曲がり角のところにモンスターがいるのを発見した。
「おいスコール、早速戦闘だぜ!準備はいいか!?」
・・・返事がない
「あれ?」
振り返るとスコールは50mぐらい後方でしゃがみこんでいる。
「おい何やってんだよ!(怒)」
サイファーがそこまで行ってみると、なんといつのまにかサイファーのポケットから抜け出たトンベリィが道端の草をむしっているではないか!
「ムムムム、ムガーッ(怒)なーにやってんだオメーらーっっ!!今が試験中だって事わかってんのかーっっ!!!(怒◇怒#)」
「い、いや、なんかトンベリィが野草がおいしい季節だって言うからさ・・・(-_-;)」(ス)
「おぅ、そうだぞ兄ちゃん(●へ● )
無くて七草・・・じゃなかった、春の七草って言ってな、ゴギョウ、ハコベラ・・・」(ト)
「うるせーっ!!!(爆発)」(サ)
「なんだよ、最後まで人の話を聞けよ、ゴギョウハコベラ・・・」(ト)
「問答無用だ!来いてめえら!!」(サ)
サイファーは二人を小脇に抱えると、曲がり角の向こうにいたモンスターも弾き飛ばし(!)、 一気に山頂めがけて駆け上がっていった。
「クソッ・・・一体こいつは何なんだ・・・さっきはあんな恐ろしいパワーを出したと思えば今度はまるででくの坊だ・・・何が一体こいつを・・・」
サイファーは走りながら自分の左脇に抱えたスコールをちらりと見やった。
「うーサイハーっ、もっとゆっくり行ってくれ~落ちる~!(>△<;)」
しかしスコールは相変わらずだ・・・。