87.涙の撤収
「ほらスコールぅ~、急いで~っ!!」
先を行くセルフィが時々振り返りながら俺を呼んでいる・・・
「フー、フー(-ε-;ゞ」
暑い・・・何て暑さだ・・・
海岸に降り立った時はまだ寒かったような気がするんだが(謎)季節はすっかり夏だ、 革ジャンの襟のフワフワが特に暑い・・・(苦)
俺は真っ黒になってしまったトンベリィ料理長を抱きかかえ、 日が落ちかけてはいるもののまだまだ暑いドール山(?)の山道を、流れ落ちる汗をぬぐいながら必死の思いで下っていた。
「ゼル!頼むからこんな時にだけは壊れないでくれよーっ!」
ゼルは肝心な時にはいつも体調を崩すやつだ、 自業自得だとは思うのだがそんな彼を俺はちょっとだけ気遣うフリをしてみた。
これでちょっとは俺の事を見直すだろう、フフフ・・・
「フッ、人の心配ヨリモ自分ノ心配ヲシタホウガイインジャナイノカ?」
なんとゼルは感謝の言葉どころか俺様に悪態をついてきやがった、なんて友達甲斐のないやつだ(-_-;)
「ソイツサエイナカッタラナ」
しかもゼルは事もあろうに料理長が悪いかのような言葉を発しやがった、許さん!
「てっ、てめー!、誰のせいでこんな事になったと思ってるんだーっ!!(ToT)/」
「・・・オマエノセイダロ(-_-;)」
「うっ・・・うぅぅっ・・・(>_<;)」
ゼルのその的を射た言葉の前に俺はその場に座り込んでしまった・・・
胸がぎゅーっと締め付けられる感じがする・・・胸が・・・痛い・・・
・・・ハッ、もしかしたら俺は狭心症にかかってしまったのだろうか?(違)
「ぅぅぅぅ・・・」
あまりに苦しくて言葉も出ない俺にゼルは声をかけてきた。
「ワッ、ワルカッタ・・・言イ過ギタヨ・・・サァホラ、立テヨスコール・・・」
ゼルは俺に手を差し出してきた。
「ゼル・・・」
ふっ・・・わかってたさ、ゼル・・・ホントはお前はいい奴なんだ・・・
俺は涙をぬぐい、そして立ち上がった。
「さぁゼル、行こう!」
「ドッ、ドウシタンダ急ニ・・・ヤッパリオ前チョットオカシイゾ・・・(汗)」
「おぉ~い、早くぅ~っ!!」
セルフィが俺達を呼んでいる、さぁ行かなきゃ!
俺達の試験のためにも、俺達のために一人犠牲になってくれた・・・
・・・料理長のためにも・・・・