91.復路の船内

「・・・そうだったの・・・」

「ああ、だからよ~30秒の遅刻ぐらい大目に見てくれよ先生よ~っ!」

「・・・んん・・・」

「おっ?オッケー!?」

「やっぱりダメよ」

「ガクッ・・・なんだよ期待させやがってよーっ!」

「私は試験官として事実は事実としてちゃんと報告するわ、あとは上がどういう判断を下すかね、それ以上の責任持てないわ」

「ケッ、全てはデブの校長次第ってわけか・・・」

「デブは余計でしょ」

「ハイハイ・・・」

サイファーはソファーにふんぞり返るとテーブルの上に足を投げ出し、なにか物憂げに宙を見つめていた。

「ところでサイファー」

「あぁ?」

「あなた実技試験に行ってる間になんだか性格変わったんじゃない?」

「へっ、いろんなことがあったんだ、性格ぐらい変わるぜ。」

「そう・・・」

サイファーとセルフィから一通りの話を聞き終えたキスティスはソファーから立ち上がると隣の仮眠室への扉を開けた、そこには未だに目を覚まさないスコールが寝かしつけられている。

・・・バタン
中に入り扉を閉めるとキスティスはベッドの脇においてあるスツールに腰をかけると、スコールの顔を覗き込んだ。

(普通の子じゃないとは思ってたけど・・・まさかね・・・)

しばらくぼんやりスコールの寝顔を見つめていたキスティスだったが、ふとスコールの額の上に乗ってるタオルに気が付いた。
そのタオルは先ほどスコールが運び込まれてきた時にセルフィが乗せていたものだった。

(ここに入れていいのかしら・・・?)

見るとベッドの枕元には氷水が入った洗面器が置いてある。

キスティスはタオルを手に取ると、その中に浸してみる・・・

(キャッ、冷たいっ!・・・これで戻しておけばいいわけよ・・・ね・・・?)

キスティスはそのタオルを再びスコールの額の上に戻した・・・とその時!!

「ンギャー!つっ冷たいのだーっ(@◇@)/」

「あらスコールお目覚め?」

(もっ、もしかしてしぼってから乗せるものだったのかしら?やった事なかったからよくわからなかったわっ(汗))

「何てことするのだ!服がびしょびしょになってしまったじゃないかーっ!!(>o<)/」

「ごっ、ごめんスコール・・・」

騒ぎを聞きつけて隣の部屋からセルフィが慌てて駆け込んできた。

「スコールぅ~どうしたの~っ!?」

「どうしたもこうしたもないのだ!(-_-;)/」

「あーたいへーん!!」

「何バカやってんだお前ら~」

サイファーもふんぞり返ったまま顔だけをこちらに向ける。

「ほら、これで拭いて~・・・」

セルフィはどこからか乾いたタオルを持ってくるとスコールの顔をぬぐってあげた。

「ううう・・・やっぱりセルフィは優しいのだ(*・・*)」

その言葉を聞いた瞬間、キスティスの胸はちょっぴりだけズキンと鳴った。
が、すぐにそれを振り払うかのようにキスティスは二人に背を向け、キリリとした強い口調でこう言った。

「受験生諸君!本船は間もなくバラム港に到着する、各自自分の荷物をまとめて準備する事!いいわね!?」

「了~解」

さっきから一人作戦室でふんぞり返っていたサイファーはそう返事をすると、さっさと先に廊下へ出ていってしまった。

「サイファー・・・?」

・・・そのサイファーの言動がなぜだか胸にひっかかったキスティスだった・・・。

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